決算の歩き方

中小企業診断士

今日は決算期にちなんで、財務分析について説明します。

もうすぐゴールデンウィークですね。この時期皆さまはどのようなことを思い浮かべるでしょうか。

日本の皐月って良いですよね。まさに冬から春、そして夏へと、日本の四季の移ろいを肌で感じられる季節だと思います。近年は、コロナの影響で潮干狩りもタケノコ掘りも田植え体験もできず残念ですが、今年は何か子供たちにも日本の皐月を堪能してもらいたいなと思います。

一方で、ビジネスパーソンとしての5月は、やはり決算の時期です。日本の場合はお客様の会計年度(特に国)や教育制度の学期を踏まえて、3月決算の会社が多く、決算期末から2か月以内という報告期限を守るために、5月に決算発表が集中します。
財務部門の方などはともかく、ビジネスパーソンであっても、フロー(P/L)については身近であるものの、ストック(B/S)については、普段から接しない人も多いのではないでしょうか。私もそうなりがちですが、せめてこの時期くらいは、より広く会社の経営状況の大観を見ようと、毎年この時期は、いろいろな会社のPLだけでなく、BSとCFも眺めるようにしています。暗号のような数字と見慣れない言葉が並んでいて毛嫌いする方も多いと思いますが、見どころがわかると案外小説を読むように楽しくなってくるものです。

さて、最近見た会社さんの情報を例にとって、皆様にも興味をもってもらえればと、財務の読み方を紹介したいと思います(わかりやすくが趣旨なため、厳密な会計ルールには適合していません。ご容赦ください)。

以下で紹介するのは、東証一部上場企業のNTTデータ(9613)です。通信の巨人、エヌティティグループの中で、システム開発や運用等を生業としている企業さんです。グローバルなM&Aを積極的に手掛けるなどして、創業以来32期連続で増収を続けているという驚異の会社です。デジタルテクノロジーの世界的な活用というトレンドに乗って、業績をしっかりと伸ばしている優良企業という印象です。

さて、財務諸表自体は、公式IRページから参照頂ければと思いますが、小説的に読むと、面白いなと思ったところはこのようなところでしょうか。


1.総資産額の規模は3兆円。京都府に並ぶ社会的公器!!
NTTデータの総資産は約3兆円、私の出身地の京都府は2.8兆円ですので、本当に大きな企業です。企業理念として「情報技術でより豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」という大きな理想を掲げていますが、大きな都道府県と並ぶ企業なわけですから、まさに社会の公器で、社会貢献の姿勢は絶対に必要になるレベルですね。(ちなみに東京都は33兆円でした。小池さんは超巨大企業CEO兼広報ですね)
2. 利益剰余金:先達の生きた証。埋蔵金6600億円!!
会社は毎年利益を出しますが(当期純利益)、このお金はどうなるかご存じですか?株主に配当として還元されたり、もしくは企業内に蓄積されて、将来の成長原資として積み立てられたりします(利益剰余金)。NTTデータの場合、その利益剰余金が、6600億円も積みあがっています。これは、結構会社のポリシーをうかがわせる数字です。例えば、米系企業を初めとする外資系企業は、ここに貯めこまずに自己株式を買うことで、既存の株主への配当割合を向上させる(株主還元)ことにお金を出すことが多いです。アメリカ人は投資・消費し、日本人は貯蓄するというのは、必ずしも個人の話だけではないようです。どちらが良いという話ではないですが、米国経営者は株主還元により株価を上げ、インセンティブとして高い報酬を受け取りがちですが、こちらの企業は、日本の経営らしく、より長期的な視点および持続可能性で物事を考えようとしているのではないか、と感じますね。
3. のれん:成長の対価で埋め込まれた十字架4000億円!!
一般的にM&Aでは相手企業を総資産よりも高額で買収します。ブランドとか成長性があるから高額で、となるわけですが、会計上は明確な理由がつけにくいので”目に見えない価値=のれん”として計上されます。(例.株式価値10億円の企業を20億円で買えば、ざっくり10億円が目に見えない資産=のれんとして計上されるわけです)
この「のれん」、買収先が計画通りにうまく稼いでくれれば全く問題ないですが、ビジネスが失敗し予定の収益をまったく期待できなくなった場合には、この目に見えない資産は文字通り”無価値”だったと見直し開示する必要に迫られます。これが減損です。NTTデータさんの場合、この“無価値”になってしまう可能性がありうる目に見えない資産が4000億円も積みあがっているということです。概して、M&Aで急激に成長を果たしてきた企業はのれんが膨らみがちです。先述の利益剰余金を含む純資産が非常に潤沢なので、安全性は高く、債務超過(倒産の第一歩)に陥るようなものではないですが、過去の経営の方針が良く表れている数字です。

ということで、実例をベースに平易に書いてみたつもりでしたが、いかがだったでしょうか?財務諸表は企業の健康診断みたいなものなので、一つ一つの数字が表れた背景や意味がわかると、いろいろなモノが見えてくるというイメージをお持ちいただけたなら幸いです。

皆さまも、お時間があるときに、お気に入りの会社の決算情報をのぞいてみてはいかがでしょうか。


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